チュートリアル 2021/11/13

安井 翔太(サイバーエージェント)

因果推論の入門と機械学習

普段データの分析を行っている時に、何気なく「効果」という言葉に触れることがあります。しかし、多くの場合「効果」とはどのような定義で、どのようなデータの操作で得られるものなのかをあまり考えることはありません。因果推論はこれらの効果の定義と、そのデータからの推定方法についてを体形的に整理した分野です。因果推論の知識は機械学習を応用することの効果を計測するために重要なだけでなく、近年では因果推論の発展に対しても影響を与えるようになってきています。本講義では因果推論の基本的なアイデア及び手法の解説を行い、近年の機械学習の発展との関連についてお話しします。

佐藤 竜馬(京大)

最適輸送入門

ふたつの確率分布の距離をはかる場面は、生成モデルの分布とデータ分布の距離をロスとして用いる場合や、異なるドメインのデータ分布を比較する場合など、機械学習の多くの応用に登場する。最適輸送はそのような場面で使える距離の一例である。最適輸送の優れた点としては、分布のサポートが一致していなくても使えること、サンプルどうしの細かい距離構造を捉えられること、ふたつの分布の各点の対応関係が副次的に求まることなどが挙げられる。本チュートリアルでは、最適輸送のアルゴリズムを具体例を交えながら紹介する。

御手洗 光祐(阪大)

量子計算・量子機械学習入門

量子コンピュータは、通常のビットとは異なり0と1の重ね合わせ状態を取れる量子ビットを用いた計算機で、素因数分解などの計算タスクを従来のコンピュータよりも高速に解けることが知られている。近年、その計算能力を機械学習の分野へと応用しようという動きが活発になってきた。この研究領域は量子機械学習と呼ばれている。本チュートリアルでは、量子計算自体への入門からはじめ、最近の量子機械学習の研究について紹介する。

松井 孝太(名大)

転移学習:基礎から最近の展開まで

転移学習とは,一言で言えば “非定常な環境” における機械学習問題とそれを扱うための方法論である.学習データとテストデータで生成分布が異なる分布シフトの補正や,異なるドメイン間に共通する特徴量を獲得する敵対的学習,複数のタスクからそれらに共通する知識を抽出・利用して類似タスクを効率化するメタ学習,タスクが逐次的に与えられるとき過去のタスクの性能を担保しながら現在のタスクを解く継続学習,などはその典型例として各々急速に発展を遂げている.特に,深層学習の登場が転移学習に与えた影響は非常に大きく,現在では深層モデルを核とした方法の開発がこれら転移学習研究の主流となっていると言える.転移学習を一般化された環境における機械学習として体系的に整理するのは容易ではないが,本チュートリアルでは基本的な問題設定と定式化からはじめ,深層学習に基づく転移学習の話題を中心にこれを試みたい.