チュートリアル概要 2017年11月11日(土) (有料)
場所: 伊藤謝恩ホール
「統計解析における統計的・暗号理論的データプライバシの保護」 佐久間 淳 10:00-11:30
オンラインサービスの高度化に伴い,個人情報やパーソナル情報におけるプライバシ保護の重要性はますます高まっている.プライバシーの保護は情報の流通形態と利用形態において様々なソリューションが考えられる.チュートリアルでは(1)統計的な安全性定義に基づく差分プライバシーとこれを活用した安全な統計量の公開,および(2)暗号理論的な安全性に基づく完全準同型性暗号とこれを利用した大規模データにおいても効率的な秘密計算による統計解析手法,について解説する.
参考文献:
佐久間淳: データ解析におけるプライバシー保護 (機械学習プロフェッショナルシリーズ), 講談社
「機械学習におけるテンソル」 林 浩平 12:30-14:00
多次元配列は機械学習においてテンソルと呼ばれる.データそのものがテンソルとして与えられたり,深層学習のようにパラメータがテンソルで与えられるなど,その活用範囲は幅広い.しかしながら,実際にテンソルを用いて計算する際,その演算は一般の線形代数では扱いづらく,直観的に理解するのがなかなか難しい.
本チュートリアルでは,テンソルに関する演算を整理するところから始め,どのように機械学習で活用されているか,その直観的な意味を説明する.またテンソルネットワークやテンソル分解といったアドバンスドなトピックについても紹介する.
参考文献:
石黒 勝彦, 林 浩平: 関係データ学習 (機械学習プロフェッショナルシリーズ), 講談社
「強化学習入門」 森村 哲郎 14:15-15:45
強化学習は逐次的な意思決定モデルをデータから学習するための方法論です.予測モデリング等の従来の機械学習に比べると,学習に必要なデータを揃えることが難しいことから応用事例は限られていましたが,近年,強化学習が重要な役割を果たす事例が医療やマーケティング,ロボット制御などの領域で次々に見出されています.また,囲碁やゲームで強化学習と深層学習などを用いて人間を超えるパフォーマンスを達成できることが示され,多くの人を驚かせています.本チュートリアルでは強化学習の数理の紹介を主にし,まずは基礎となるマルコフ決定過程やその解法(プランニング)を説明します,次に.プランニング手法をサンプル近似することでQ学習などの代表的なアルゴリズムを導入し,応用において要となる関数近似について解説します.最後に,実施例を交え,実問題への適用の課題や可能性についても簡単に触れる予定です.
「深層学習の構成と応用の最前線」 得居 誠也 16:00-17:30
深層学習は,機械学習において特に予測性能の点で大きなブレイクスルーを起こしている.本チュートリアルでは,深層学習において現在用いられているニューラルネットの典型的な構成を解説し,その背後にある数理的な構造を解析する試み、および実装におけるトピックを紹介する.また,様々なタスクや応用における深層学習の使われ方や,大規模データへの応用について,それぞれの問題の特性やそれに対するアプローチを含めて紹介する.