情報理論や統計学の分野では,ユニバーサル符号化や記述長最小(MDL)原理,統計的 モデル選択など,未知の情報源の出力系列から情報源モデルを推測するための方法論が 発展しています.一方,人工知能における「機械学習」やデータマイニングの分野で も,事例データから情報源に関する知識を推測する問題を扱うことから,情報源符号 化や統計学における「情報源モデル推定」と密接な関係があることが明らかになって きました.近年では,機械学習における知識表現形や具体的学習アルゴリズム等が情 報理論や統計学に逆に新しい刺激を与えつつあります.更に学習モデルの研究を契機 に統計力学と大自由度統計学との類似性が顕在化し,モンテカルロ法,平均場近似な ど従来主に自然科学で用いられていた近似的統計計算手法の情報科学への応用が急速 に進みつつあります.これらの手法は,現実の画像処理や自然言語処理,遺伝子情報 処理等での活用が期待されているだけではなく,その性能に関する特徴付けが計算量 理論の分野からも注目されはじめています.
このように,情報理論,統計学,物理学,計算機科学等に基づき「学習」を総合的 に捉え直す情報処理の分野が急速に発展しており,本特集は「情報論的学習理論」と いう名のもとで,この分野の更なる発展を目的としています.多数の方々の積極的な 投稿を期待しております.
なお,本特集号と同じ名称の研究集会「情報論的学習理論ワークショップ: Information Based Induction Sciences」が4年前より毎年開催され,今年も開催を 予定しています.本企画はこのIBIS2002で発表された優れた論文を掲載する特集号で もありますが,IBIS2002の発表論文に限らず,情報論的学習理論に関わる論文を会員 より広く募集致します。
樺島祥介 東京工業大学大学院総合理工学研究科 〒2268502 横浜市緑区長津田町4259 TEL:[電話番号削除] FAX:[FAX番号削除] Email: [メールアドレス削除] ※本特集号は、本会事務局で受け付けない関係で電子投稿を御利用に なれませんので御了承下さい。
編集委員長: 樺島祥介(東工大) 編集幹事: 鈴木 譲(阪大) 編集委員(50音順): 池田思朗(九工大),石井信(奈良先端大),上田修功(NTT),岡田真人(理研), 津田宏治(産総研),永田昌明(NTT),山西健司(NEC),渡辺澄夫(東工大)